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「タイランド4.0」で国を挙げてデジタル化を目指す、タイ・スタディーツアー研修実施報告

 2023年9月4日(月)から9月12日(火)までの9日間の日程で、タイ王国においてスタディツアーを実施しました。タイ王国は近年、デジタル化への取り組みを積極的に推進しており、政府と民間企業が情報技術の発展を促進しています。デジタル経済の促進、電子政府サービスの提供、スマートシティの構築など、多岐にわたる活動が行われています。特に、デジタル教育プログラムが充実しており、若者のスキル向上を後押ししています。

 本ツアーには、データサイエンス学部学生6人とデータサイエンス研究科学生3人が参加。タイ王国が国を挙げてデジタル化に注力している点を中心に、モノづくり教育の現状、DXの動向、現地日本企業の状況(現地陵水会会員との意見交換含む)、歴史や文化など、多岐にわたる学びを深めました。

 第2日目から4日目には、本学連携先である秦日工業大学(TNI)とその下部組織である秦日インターナショナルカレッジ(TNIC)を訪問し、ものづくり教育の現状について視察するとともに、サバイバル・タイ語研修やタイ伝統音楽レッスンを通じてTNI及びTNICの学生たちとの文化交流を行いました。また、データサイエンス系教員によるデザイン思考ワークショップでは、学生がカフェの顧客データ分析によるビジネス価値創造に取り組みました。さらに、タイ王国の古都、アユタヤを訪問し、日本とのつながりも含めて、タイ王国の歴史文化について研修しました。これと並行して、滋賀大学とTNICの教員間で、TNIC学生の日本留学などを含めて、今後の連携協定の具体的な中身について意見交換を行いました。

 第5日目には、9月8日はタイ財閥CP(チャロン・ポカパン)グループを企業訪問しました。CPグループは、タイ最大のコングロマリット企業で、8つの部門(食品、小売り・ドラッグストア、テレコム・デジタル、不動産、製薬・病院、自動車・再生エネルギー、金融)で事業展開しています。小売りでは、セブンイレブン14,000店舗、Lotus 2000店舗を抱えて展開しています。午前中にDX化の進んでいる先進的なLotusの店舗を訪問し、無人レジ、ダイナミックプライシングタグ、顧客の動線分析などの小売り現場を見学しました。午後は、True Digital Park にて、デジタルイノベーションのショーケースを見学し、クラウドデータセンターも見ました。また、CPグループCTOオフィスから、データサイエンスやAIをCPのビジネスに活用した事例のプレゼンテンショーンを受けました。具体的には、スマートコンビニストア、スマート養豚所、スマート養鶏所、スマートエビ養殖所、スマートヘルスケア等の応用実例を詳しく聞きました。また、研究実証段階であるデング熱対策プロジェクトや、網膜イメージによる心臓や脳の疾病との関連性分析なども紹介してもらいました。タイのリーディングカンパニーが、デジタル変革に先進的にスピード感をもって取り組んでいることを参加した学生は、目の当たりにして、「日本産業は先を走っている」という旧来の日本人の先入観が覆されたように思います。

 7日目及び8日目は、自由行動とし、TNIC学生の同行のもと、文化施設、繁華街など、現地の状況を肌で感じました。

 その他、4日目夕方には、陵水会タイ支部の滋賀大OBの方々と意見交換会が開催され、アジアで活躍する先輩方から薫陶を受けました。

 9日目には、現地に進出している日本企業のひとつであるNTT Dataを訪問しました。午前中はCEOのウエルカムトークの後、3名の講師よりタイでの銀行業界DX事情、2輪車顧客へのデジタルマーケティングにおけるデータ分析プロジェクトの実例、日系自動車会社へのITソリューション提供を例としたプロジェクトマネジメントのお話など、具体的な話を通じて、顧客ニーズにどう答えるか、プロジェクトを円滑に進めるための人間力など貴重な見識を伺いました。また午後にはTableauの使い方のレクチャーを受けた後、グループ演習とプレゼンを通して簡潔かつ効果的に分析結果を提示してプレゼンすることの大切さを学びました。