お知らせ
「Hikone Data Science Symposium ~Turning Data Science and AI Technology into Innovations~」開催報告
2023年4月20日、滋賀大学国際シンポジウム「Hikone Data Science Symposium ~Turning Data Science and AI Technology into Innovations~」を開催しました。
本学はこれまで既に、データサイエンス領域における先端研究教育拠点として、200を超える企業や官公庁、他大学との連携を通じ教育研究を進め、国内最高峰のDS拠点の知見を活かした共同研究などによる連携企業の課題解決に取り組んできましたが、「DX・AI」の重要性が社会で広く認知されるようになったことにより、新たな局面を迎えております。本シンポジウムは、この局面に臨み、世間で声高に叫ばれるデジタル革命の下、データサイエンス・AIの社会的な意義や役割について発信することを目的に開催しました。
今回の国際シンポジウムでは、著名な講演者たちが、国際的な見地から、エッジコンピューティング、IoT、およびAI技術を活用して、様々な分野での重要な課題に取り組み、革新を促進する共通のテーマに、リアルタイムデータ処理、ローコード/ノーコード開発、医療診断、およびプライバシー保護型機械学習に関して最新の知見が共有されました。
深谷良治滋賀大学データサイエンス・AIイノベーション研究推進センター副センター長の開会挨拶に始まり、周暁康同センター准教授による進行の下、国際的に活躍される方からの4つ基調講演を催しました。(ポスターはこちら)
第1部では、ニュージーランド・オークランド大学のKevin I-Kai Wang氏より「IoT-based distributed sensing and data analytics」と題して、IoTセンシングデバイスの成長とリアルタイムでのセンサーベースの時系列データ処理の課題について語り、IoTベースの分散センシングおよびデータ分析に関する研究をご紹介いただきました。
第2部では、中国・上海交通大学のWilliam Dai氏より「Low Code Development for Industrial Edge Applications」と題して、従来の産業用オートメーションシステムにおけるネットワークとコンピュータがもたらす機会について語り、エッジアプリケーションでの自動コード生成に関するモデル駆動型およびデータ駆動型アプローチに焦点を当ててご紹介いただきました。
第3部では、インド・DeepTek.ai社のAjit Patil氏より「Genki – AI powered Chest X Ray Screening Solution by DeepTek.ai」と題し、AIを活用した胸部X線画像診断支援ソリューションの仕組みを、病院のエッジやクラウド環境、移動X線車両などを活用しながら、放射線科医と協力して結核の検出と診断を画期的に改善する可能性について事例を交えてご紹介いただきました。
第4部では、イギリス・エクセター大学のJia Hu氏より「Federated Deep Learning at the Network Edge」と題し、連携学習(FL)のパラダイムを探求し、現実世界での適用に関する課題に取り組み、ネットワークエッジの環境での効率的な通信、パーソナライズされた学習技術、およびFLの進展に関する最近の研究をご紹介いただきました。
当シンポジウムには、学内外の研究者・学生のほか、協賛企業を始めとする多様な企業の参加者を含めのべ100名を超える参加がありました。企業からの参加者からは、「海外の事例を聞いて、もっとグローバルな活動もしなければと思いました。貴重な機会、ありがとうございました。」という感想も寄せられました。
講演で示された、先端のデータサイエンス・AI技術が提供する課題と機会を理解し、それぞれの分野でのイノベーションや問題解決のための情報に基づいた意思決定や潜在的な協力関係の検討が示唆される意義深い場を共有することができました。