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総務省統計研究研修所と共催「令和4年度教育関係者向けセミナー」を開講

 2022年8月10日、「令和4年度教育関係者向けセミナー」を総務省統計研究研修所との共催で開講しました。

 本セミナーは、小・中学校、高校や教育委員会などの教育関係者を対象に、2017年から毎年夏に開講しており、データサイエンスに関するリテラシーの向上や、データサイエンスを用いた授業デザインをテーマに講義や演習により、統計指導のスキルを磨いてもらうことを目的に行っているものです。

 セミナーは、データサイエンス学部長 椎名教授の挨拶に始まり、午前の部はデータサイエンス学部の奥村准教授が登壇しました。演題を「データサイエンスの現状について」、「データサイエンス教育の基礎」とした講義では、リテラシー+(プラス)の認定を受けた「滋賀大学数理・データサイエンス・AI教育プログラム」(参考:https://www.shiga-u.ac.jp/2021/08/05/95203/)の紹介を交えつつ、「データサイエンスとは、統計学と情報学をもとにデータを活用して価値創造を図る領域である。」という定義や、政策決定で重視されるエビデンスの考え方が医療に由来すること。また、セイバーメトリクスなどの最近のトピックスや機械学習の分類についての説明がありました。

 午後の部は、愛知教育大学の青山和裕准教授が「Society5.0時代を視野に入れた統計教育の指導について」と題し講義を行いました。この講義では、「数理・データサイエンス・AI」の推進により、社会が画一均質なものから多様性へ移行していること、また、エクセル経営と銘打ちデータ分析で商業的に成功を収めている国内衣料品メーカーの事例や、各種メディアで誤った印象をもたらす統計的に不適切なグラフ表示例の紹介など、身近で分かり易い事案と共に統計学に基づく解説がありました。

 後半のパートでは校種別グループに分かれ、統計教育を行う上での課題や、課題にまでは至らない困り感の共有や意見交換が行われました。このグループワークを踏まえた情報共有や質疑応答において、学習指導要領の改訂に伴って想定される指導者としての技能の指標については、統計検定を目安にするとよいという提案や、授業で利用できるデータセットの所在については、無償で提供されているデータセットサイトURLなどが、受講者と青山准教授の間で遣り取りされました。

 なお昨年同様本年も、新型コロナウイルスの感染防止対策のため完全オンラインで実施し、西日本の小中学校、高校教員を中心に13名が参加されました。